公的調査・研究にもとづく解説|ひこばえ(ウィアー合同会社)
「頭では分かっているのに、書くのがつらくて答えられない」。そんなお子さんの姿に、 戸惑いや心配を感じたことはないでしょうか。書くことの困難(書字困難/ディスグラフィア)は、 本人の努力不足でも、理解力の低さでもありません。この記事では、書字困難とは何かを 公的な調査や研究をもとに整理し、家庭や学校でできる支援の考え方、そして 「書かずに音声で答える」という選択肢についてまとめました。
書字困難とは、知的な発達や視力・運動機能に大きな問題がないにもかかわらず、 文字を書くことに著しい困難がある状態を指す言葉です。英語では ディスグラフィア(dysgraphia)と呼ばれることがあります。
医学的な診断基準では、書くことの困難は限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)の 一つとして位置づけられています。アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」では、SLDのうち 「書字表出の障害」として、綴り(文字の正確さ)や文章記述の明確さ・構成などの困難が挙げられています[1]。 世界保健機関(WHO)の国際疾病分類「ICD-11」でも、 「書字表出の障害を伴う発達性学習症」が独立した項目として整理されています[2]。
「読み」の困難であるディスレクシア(読字困難)と重なることも、書字困難が単独で見られることもあります。 また、自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなど他の特性とあわせて、書くことのつまずきが現れる場合もあります。 現れ方は一人ひとり異なります。
文部科学省が全国の小・中学校を対象に行った調査(2022年)では、 知的発達に遅れはないものの「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒は、通常の学級に約8.8%在籍すると報告されました。 2012年の同種の調査での約6.5%から上昇しています[3]。 この数値は担任教員による回答にもとづく「可能性のある」割合であり、医学的な診断結果ではない点に注意が必要ですが、 クラスに複数人、書く・読む・計算するなどに困難を抱える子どもがいる可能性を示しています。
国際的にも、DSM-5では限局性学習症(SLD)全体の有病率を、学齢期の子どものおよそ 5〜15%としています[1]。 書くことの困難は、決してまれなことではありません。
「書く」という行為は、一見単純に見えて、実は多くの処理を同時に行う複雑な作業です。 文字の形を思い出す、手を動かして書く(運筆)、綴りを整える――こうした 「文字にする」ための処理(transcription)と、 何をどう表現するかを考える「考えて構成する」処理とを、 限られた注意やワーキングメモリ(作業記憶)の中で並行して行っています[4]。
文字にすること自体に大きな労力がかかると、その分だけ「考える」ことに使える力が減ってしまいます。 これは「書くことの、単純ではないモデル(not-so-simple view of writing)」として研究の中で説明されてきた考え方です[5]。 つまり、書く負担が大きい子どもは、考える力があっても、それを答案として出しきれないことがあるのです。
ここが最も大切な点です。書くことに困難がある子どもは、内容を理解していないわけでも、 考えていないわけでもありません。「わかっている」ことと「書いて示せる」ことは、別の力です。
書くことのハードルが下がるだけで、驚くほど豊かな考えを表現できるようになる子どもは少なくありません。 大切なのは、「書けるようになるまで待つ」ことだけでなく、「書くこと以外の方法でも、 その子の理解や考えを受け止める」という選択肢を持つことです。
日本では、発達障害者支援法や 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)によって、 障害のある人が困りごとを取り除くための「合理的配慮」の提供が求められています。 2024年4月からは、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました[6]。 学校教育の中でも、一人ひとりの状態に応じた配慮や支援が重視されています。
合理的配慮の例としては、次のようなものが挙げられます(あくまで一例です)。
近年は、こうした支援の一つとしてICT・支援技術(Assistive Technology)の活用が広がっています。 書くことが困難な子どもにとって、キーボード入力や音声入力は、「考え」を外に出すための現実的な手段になり得ます[7]。
話した言葉を文字に変換する音声認識(音声入力)は、書くことに困難のある子どもの支援手段として、 以前から研究されてきました。たとえば、書字に困難のある児童を対象にした研究では、 音声認識を用いることで、手書きに比べて文章の流暢さ(書き出せる量や進みやすさ)が向上したことが報告されています[8]。
もちろん、音声入力はすべてを解決する万能の方法ではありません。認識の誤りを直す作業や、 静かな環境が必要になることもあります。それでも、「書くこと」がボトルネックになっている子どもにとって、 話して答えるという選択肢は、学びを止めないための一つの助けになり得ます。 大事なのは、複数の選択肢の中から、その子に合う方法を選べるようにすることです。
こうした背景のもとで、私たちが作ったのが、無料の学習支援WEBアプリ 「ひこばえ」です。問題用紙をスマートフォンで撮影し、答えたい場所をタップして、 声で答えを入力し、そのままPDFとして保存できます。撮影した画像や入力した答えは、 端末の外に送信されません(プライバシーに配慮した設計です)。
私自身、ウィアー合同会社の代表であると同時に、長男が自閉スペクトラム症(ASD)である一人の親です。 日々の子育ての中で、「わかっているのに、書くという一つの作業がその子の“考える力”や“伝えたい気持ち”の前に 立ちはだかる」場面に、何度も出会ってきました。
その気づきと必要性から、「書くこと」ではなく「考えること」に集中できる道具があってほしいと考え、 ひこばえを作りました。そして、本当に必要としているご家庭やお子さんが、費用の心配なく使えるように、 無料で公開しています。派手な機能ではなく、目の前の困りごとを少しでも軽くすることを大切にしています。
― ウィアー合同会社 代表
ひこばえは、書字困難そのものを治療したり、診断したりするものではありません。 あくまで、日々の学習の中で「書く」負担を減らすための道具(選択肢)の一つです。
お子さんの学びやすさについて気がかりがあるときは、一人で抱え込まず、専門機関に相談することをおすすめします。 相談先の例として、学校の担任・特別支援教育コーディネーター、教育委員会の就学・教育相談、 各自治体の発達障害者支援センターや児童発達支援、小児科・児童精神科などの医療機関があります。
そして何より、書くことにつまずいている子どもを前にしたとき、 「なまけている」「努力が足りない」と受け取らないでいただけたらと思います。 見え方を少し変えるだけで、その子の世界は大きく広がります。
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※ 本記事は、生成AIを活用して執筆・編集しています。内容は公開情報をもとに確認したうえで公開していますが、 誤りにお気づきの際はウィアー合同会社までお知らせください。